疲れ気味の現代人が忘れてしまったものを、思い出させてくれる様な優しい映画

アジアのウェブアワードでセレクトされた作品の魅力

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スローテンポな、モノクロやセピア色を感じさせる優しい映画

原風景

都市開発により、自分の住む或いは住んでいた町が、全く様変わりして原型を留めない様な別風景になって行く東京に於いて、奥沢は「あ、見た事がある風景…」と自分のふる里の町を重ねて見てしまう様な町です。
監督はこの町に5年程暮らしているそうですが、きっとこの町に住んで「この町で人間ドラマを撮りたい」と思ったのだと考えます。
何故なら、この映画の冒頭に必ずこの町の風景が流れるのですが、その場面が実に愛情深く感じるからです。
片側に通る線路とのんびり歩く人。
どこの町でも見かける「〇〇銀座」と銀座をつけてしまう商店街。
もう、その時点で心が癒されてしまうのは誰しも同じと思います。
この町は昭和の東京をふる里に持つ、誰もの心に寄り添う原風景の様です。
そしてこの町で、小さな人間同士の物語は始まって行きます。
まるでこの町の一部の様な優しい人々の話が…。

どこまでも優しい世界で人は癒される

監督がこの町で撮りたかった映画とは、彼自身が語った言葉から推察できると思います。
それは「泣く事ばかりが人生じゃない」という言葉です。
昨今、泣きを売りにしたドラマが数々ヒットしていますが、彼は最初に暗さ、死、コンプレックスというモノを排除した作品を作ろうと考えたそうです。
個人的には泣く事を否定しませんし、泣く事はある種ストレスの解消にも繋がると言いますので泣きたい時はワーワー泣けば良いと思うのですが、泣かす為にはどうしたって悲哀が必要です。
そこに、暗さや死、コンプレックスは必然的に欠かせない要素となってしまうでしょう。
監督は、泣かせなくても優しい世界に入り込み心がチョッと温かくなったなら、人は溜め込んだストレスを知らず知らずに忘れられる、と考えたのではないでしょうか。


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